日清丸紅飼料株式会社 日清丸紅飼料株式会社
会社案内 事業内容 採用情報 最新情報 HOME
お問合せ本サイトについて個人情報保護方針リンク
2012年2月
気になる異常産の増加とPRRSの関係
日清丸紅飼料(株)総合研究所 検査グループ 矢原芳博
 日本列島がすっぽり冷凍庫に入ったような寒さが続いていますが、豚舎の保温は十分とれているでしょうか。寒さの影響で様々な疾病の動きが活発化したのか、今年の冬は疾病の問い合わせも非常に多いくなっています。

 とくに気になっているのがPRRSについてです。母豚の異常産(主に早産)が立て続けに発生し、これに加え離乳舎でのヘコヘコ症状による事故率が増えるというパターンにあちらこちらで出くわします。とりわけ南九州からの情報が多いようです。ここ最近の傾向としては、母豚の異常産の発生頻度が高い点が気になります。1990年台前半、日本にもPRRSウイルスが既に浸潤していることが分かったころには、PRRSによる被害はどちらかと言えば離乳子豚の衰弱死が主体だったと記憶しています。もちろん早産の発生もありましたが、どちらかと言えば離乳子豚に症状が強く出る農場が多く、これが北米タイプとヨーロッパタイプの株の違いであると認識していました。その後も日本で分離される株はほぼすべてが北米タイプでしたので、当初の傾向はそのまま引き継がれていると理解していました。しかし、このところの発生状況を見ると、場内での被害の主体が異常産であるケースが目立ちます。この原因は何なのでしょうか。PRRSウイルスが遺伝子変異により、より異常産を起こしやすい形に変わってきているのでしょうか? この疑問について、まだ誰も有効な答えをもっていないようです。

 このように、生産現場で起きている変化をより早く見つけることも我々検査屋の大事な仕事なのかもしれません。とくにPRRSについては、PCRなどの遺伝子検出法が広く普及しており、PCRで増幅された遺伝子をさらに解析することで、野外にどのような遺伝子をもったウイルスが存在しているかを確認することができます。もちろん病原性と遺伝子のパターンがどのように関連しているかなどについては、まだまだ謎が多いのですが、少なくともどの程度の親戚筋のウイルスが、どの地域に存在しているか、あるいはその地域のウイルスが時間とともにどのように移り変わっているかについては、地道に遺伝子検査をしていけばつかめていくはずです。このようなアプローチを「分子疫学的手法」と言うのだそうですが、腰を落ち着けてこうした解析作業をじっくりと行う研究者がなかなかいない(育つ環境がない?)のが日本の現状です。
 アリが象の身体に寄って集って触りながら、その全体像を探っていくような仕事なのかもしれませんが、私もアリの1匹として、見つけた手がかりを少しずつでも提示していきたいと思っています。

「ピッグジャーナル」(アニマル・メディア社発行)2012年2月号掲載

平時から農場の弱点を知る
「ピッグジャーナル」〈列島豚病フォーラム〉 2012年1月号掲載 検査センター:矢原芳博

過去のトピックス 2011年〜2004年

2011年 2010年 2009年 2008年 2007年
2006年 2005年 2004年