日清丸紅飼料株式会社
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2006年1月
冬場の舎内湿度に文献と現場のズレ

日清丸紅飼料(株)畜産研究所 検査センター 矢原芳博

 明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。

 昨年12月は、埼玉から始まって岩手、岡山、愛媛、北海道、千葉、宮崎と、ひと月で北から南の養豚場を駆け回りました。驚いたことに、そのほとんどの農場で共通した問題が発生していました。

 そのうちの一つが、再発の多発あるいは種付け分娩率の低下といった繁殖にまつわる問題です。11、12月の種付け分娩率はどの農場も通常の時期の10〜15%程度は低下しており、20%以上ダウンしている農場もありました。また、分娩は正常だったものも、1腹当たりの哺乳開始頭数が平均で1〜2頭減っています。先月号では「夏場のストレスの母豚への影響が子豚にも出ますよ」ということを書きましたが、母豚自体への影響も今年はとくに大きかったようです。9月種付け(1月分娩予定)分からは回復傾向にあるようですが、秋〜冬の繁殖成績のダウンは年々大きくなる傾向にあるようです。

 もう一つの問題は、やはり先月号でも指摘した離乳期における事故の増加です。浮腫病を中心とした腸管感染症とPRRSを中心とした呼吸器感染症の両方が影響しているようです。南九州だけでなく関東でも、事故率上昇傾向は地域的な傾向になりつつあります。このままいくと、6〜7月の肉豚出荷頭数は全国的にかなり減少するのではないかと危惧しています。逆に、豚価はかなりのレベルまで上昇するのではないかと考えられますが、在庫がなければ豚価が上昇しても総収入は増えませんので喜べません。

 上記の2点が、年末に農場を訪問していて異口同音に聞かれた問題点でした。北に行っても南に行っても、あまりに同じ話が出てくるので非常にびっくりしました。夏の暑さが長引き、そのうえ寒波の到来が急だったことで、豚に対するストレスは全国的にかなり大きかったのでしょう。豚にとって気温差がこんなに大きなストレス要因になることに、今さらながら驚いています。

 1カ月で日本を縦断してみて気づいたポイントがもう一つあります。それは、冬場の豚舎の湿度についてです。冬場の舎内環境の注意点と言えば、まず第1に保温と湿度対策が頭に浮かびます。とくに湿度に関しては、どうやって舎内湿度を高く保ち乾燥させないかばかりを考えてきました。しかし今回感じたのは、冬場の豚舎は乾燥するとは限らないということです。南九州の換気重視の豚舎で、冬に雪が降るような寒さがくれば、豚舎のなかは結露で100%近い湿度になってしまいます。東北、北海道では一生懸命豚舎を閉じきっても、やはり結露によって豚舎内の湿度が上昇し、豚の体表が濡れてしまいます。このような農場では、逆にどうやって舎内の水分を外に出すか、あるいはどうやって豚を濡らさないかを真剣に考えなければなりません。「養豚の教科書は、関東の先進的な農場のノウハウを基に書かれているので、環境については関東の気候に合わせた記述になっているのだ」とおっしゃった方がいましたが、まさに冬場の湿度についてはドンピシャリの指摘です。まだまだ既成概念に左右されて、農場のありのままの姿が見えていない自分に反省です。



「ピッグジャーナル」(アニマル・メディア社発行)2006年1月号掲載



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