日清丸紅飼料株式会社
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2005年12月
意外と長引く母豚の夏のダメージ

日清丸紅飼料(株)畜産研究所 検査センター 矢原芳博

 私のこのコーナーの書き出しでは、その時節の豚価を枕にすることが多いのですが、先月は「ついに豚価も300円台に入ってしまいました」という書き出しでした。その後、てっきり300円台で低迷するものと思っていたら、私の予想はもろくもはずれ、400円台を長期間維持しています(本誌発行時の豚価は、年末需要でさらに上昇しているのかもしれません)。

 豚価が思ったほど下がらなかった理由として、出荷頭数が予想以上に少ないことがあげられているようです。前号でも取り上げた離乳後下痢や浮腫病などの腸管感染症などの影響が大きい南九州の出荷頭数減が豚価にも影響しているという分析が大方の見方です。さらに我々のラボに入ってくるご相談では、呼吸器病もやはり増加傾向にあるようです。毎年、季節的に呼吸器病の最も出やすい時期ではあるのですが、今年の発症の特徴としては、ここ数年続いている夏の暑さが秋以降にまで長引き、非常に暖かい秋であったことがあげられます。本来であれば、暖かいのは呼吸器病には良い環境であるはずですが、逆に次のようなことが農場内で起きているようです。

 まず、暑さの影響ですっかり体調を崩した母豚が、さらに残暑のせいで体調回復せず、生まれてきた子豚の生時体重が小さく、泌乳量も少ないので離乳体重も小さいということ。状態の良くないまま離乳された子豚が離乳後に呼吸器病を発症し、体力が十分でないために症状が重く、回復までに時間を要するという図式です。

 またここ最近は、昼間の温度が高い割には朝晩の冷え込みがきつく、結果的に日格差が非常に大きい日が続いており、豚舎環境の調整が非常に難しく、呼吸器病を発症した子豚の状態がさらに悪化しています。母豚の体調管理が、ひいては離乳後の子豚の発育に大きな影響を与えることは、このページでも再三書いてきたことですが、まさにこのパターンにはまってしまった農場が少なくないようです。

 常在的に腸管感染症を発症している農場では、まさにダブルパンチを受けているケースもあります。このような農場に訪問した際には、もちろん発症中の離乳豚舎にも入りますが、分娩舎やストールも同様に時間をかけて見回ります。すると、この季節になってもまだ母豚の体調が元に戻らず、乳房炎を起こしていたり、極端に痩せてしまった母豚をよく見かけます。母豚に対する夏場対策は、暑くなる前から行うのが鉄則ですが、体調が回復しない母豚には、今からでもビタミン剤やアミノ酸の強化、生菌剤や有機酸など、できる限りの対策を打つ必要があります。一度こじれた母豚の体調は、寒くなって飼料を食えば元に戻る、といった単純なものではないようです。



「ピッグジャーナル」(アニマル・メディア社発行)2005年12月号掲載



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