日清丸紅飼料株式会社
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2005年10月
疥癬の怖さは全身性のアレルギー

日清丸紅飼料(株)畜産研究所 検査センター 矢原芳博

 先々月のこのコーナーで子豚の皮膚の発疹について書きましたが、先日、某製薬メーカーの方から、疥癬による豚の皮膚病変やその影響についてお聞きする機会がありました。豚疥癬については皆さんよくご存知のことと思いますので詳しい説明はここではしませんが、疥癬ダニの寄生の影響は、単に寄生部位の痒みによる影響だけではなく、寄生によって起こるアレルギー反応による全身性の痒みと免疫への悪影響が問題だという骨子でした。つまり疥癬ダニの寄生は、予想よりずっと大きな悪影響を豚にもたらしている可能性があるということです。

 もともと疥癬ダニは、豚の体表の柔らかい部分を選び、そこに穴を開けて皮膚にトンネルを掘り、そのなかで卵を産んで孵化させているそうです。ですから疥癬の豚から成虫そのものを取り出そうとしても、かなり深く皮膚を掻きむしってやらないと見つけることはできません。疥癬ダニに寄生された豚は免疫反応を起こし、アレルギー性の皮膚炎を起こすのだそうです。ですから豚が疥癬で痒がるのは、そこに疥癬がいるからではなく、アレルギー反応による痒みが全身に広がったためなのです。アレルギー反応が痒みの原因だとすると、痒がっている豚にかかるストレスが想像以上のものであることは理解できます。単に蚊に刺されたところが痒いのではなく全身が痒いのですから、豚の発育には何らかの悪影響が起きているはずです。実際に疥癬を駆除する前後の母豚、肉豚の生産成績の比較を行った成績があり、疥癬が駆除されたあとに、繁殖や増体の様々な指標で改善が見られています。

 疥癬ダニ等の外部寄生虫は、イベルメクチン製剤が開発されて以来、その駆除が非常に簡単かつ確実にできるようになってきました。剤形も注射、飼料添加剤などバラエティも増え、農場の状況に合った方法が選択できます。大多数の農場が、何らかの方法でこの製剤による駆虫を行っているものと思われます。ところが、農場にお邪魔すると、いまだに子豚も母豚もガリガリと体を鉄柵や壁に擦りつけて掻いている豚を頻繁に目にします。これだけ確実な駆除方法があるにもかかわらず、多くの農場で疥癬ダニの駆除が不十分なのが現状ではないでしょうか。その背景には、「疥癬で多少痒がっていても、生産成績には大きな影響はないだろう」という思い込みがあるのではないかと思いますが、上記の理由で疥癬のかゆみが豚の生産成績に及ぼす影響は決して小さくないようです。また「疥癬なら、いつでも注射を打てば治療できる」と思って対応があと回しになっているケースもありそうです。

 これだけ簡単に退治できる疥癬を放っておいて生産に悪影響を受け続けている手はありません。まず、農場ごとに確実に対応できるプログラムを組み、実行しましょう。メーカーによっては、農場における疥癬の影響度合いを調査する方法を提示してくれたり、コントロールプログラムを提案してくれたりしているようです。冬場の乾燥時期は、豚の皮膚病変も悪化しやすい時期でもあります。気候の良いうちに疥癬対策を進めておきたいところです。



「ピッグジャーナル」(アニマル・メディア社発行)2005年10月号掲載



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