日清丸紅飼料株式会社
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2005年8月
謎の発疹は低病原性の豚丹毒!

日清丸紅飼料(株)畜産研究所 検査センター 矢原芳博

 今年は、東日本と西日本で暑さの様子が違っているようですが、母豚の疲れも出始める季節です。繁殖成績はいかがでしょうか。豚価も高い水準が続いており、出荷頭数がなかなか増えてきていないようですので、昨夏の繁殖成績の落ち込みは相当なものだったようです。今年こそは、その轍を踏まないようにしなくてはなりません。

 さて話題は変わりますが、ここのところ色々な農場で立て続けに気になる皮膚の発疹に遭遇しました。この発疹は全身に現れ、大きさは2〜5cm程度で赤く、発疹部の盛り上がりはありませんが、症状が悪化すると、中央部の皮膚が破れて化膿する場合もあります。発症豚のその他の一般症状はほとんどなく、体温も正常で食欲も低下しません。放っておいても2週間程度で発疹が消えて回復してしまいます。さて、この発疹の原因を確認しなくてはならず、以下のように考えていったのですが、なかなか当てはまる疾病にたどり着きません。

1) 蚊に刺されたのでは? →蚊の刺し傷にしては発疹が大きすぎるし、ペンのなかで単発で発生している点がおかしい
2) 一般症状が伴わないので豚痘? →発疹部に特有の盛り上がりがない
3) 豚丹毒の可能性は? →体温も正常で食欲も下がらない 果ては、ヨーロッパで問題になっているサーコウイルス2型によるPDNS(豚皮膚炎腎症症候群)の可能性まで考えました。

 結局、そのうちの数例は豚丹毒の抗体価が非常に高く、ペニシリン系統の抗生剤の注射で症状が消えました。これらの経験からその後、一般症状の伴わない全身性の発疹に対して豚丹毒を疑い治療してみると、皮膚病変の回復が早いようです(前述のとおり、治療しなくてもやがて発疹は消えるのですが…)。

 肉豚の発育に対して大きな影響がないものですから、農場の方々もあまり心配はされていないようですが、このような皮膚病に最近よく出くわします。豚丹毒が原因だとすれば、非常に病原性の弱い(しかし皮膚病変だけは示す)ような株が出現している可能性もあるのではないかと思っています。夏場で、農場内の呼吸器病が少ないので余計に目立つのかもしれませんが、豚舎を丁寧に見て回ると、首を傾げたくなるような症例も決して少なくありません。疾病は農場内では、必ずしも教科書に書いてあるとおりに発生するとは限らないということを再度確認させられました。このような皮膚病と豚丹毒の関係については、もう少し詰めていきたいと思います。

「ピッグジャーナル」(アニマル・メディア社発行)2005年8月号掲載



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