日清丸紅飼料株式会社
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2005年7月
事故率改善は基本の積み重ねで

日清丸紅飼料(株)畜産研究所 検査センター 矢原芳博

 6月に入っても豚価は高値で安定しています。全国的に11〜12月生まれの豚が少ないと感じていましたが、その後の豚価の変化が気になるところです。そうこう言っているうちにまた夏がやってきました。今年の夏の暑さがどうであれ、夏場対策を粛々と進めていきましょう。

 この1年くらいは、私自身PRRSと浮腫病の2大疾病に振り回されっぱなしでしたが、ここに来て落ち着きを取り戻している農場が増えつつあります。事故が頻発している最中は様々な対策を試みても全く反応しなかったのに、何かのきっかけで(もちろんそれまでに打った対策が功を奏しているのだと信じていますが…)事故が減り出すと、急激に状況が変わってびっくりすることがあります。

 事故率の改善は、少しずつ減少していくのではなく、突然大きく減るケースが多いのではないでしょうか。しかし、状況に変化の見られた農場は、事故の減らないなかで、考えられる対策をコツコツと積み重ねてきていました。例えば、「離乳前後の治療のための注射は逆にPRRSを広げてしまう」と聞けば、 (1)少なくとも1腹ごとに針を交換するとか、(2)状態の悪い豚だけを隔離してから、その豚だけに注射を打つ、(3)あるいは離乳舎の管理者をできるだけ限定し、その管理者も出入りの際には着衣と長靴を必ず替える、(4)豚舎の湿度を保つために1日に5回も6回も通路に散水をする、等々、一見して地味で面倒なことを、基本に忠実な形に戻す作業を着々と進めてきたのです。もちろん、ワクチン接種が効いたのかもしれませんし、投薬プログラムの変更が当たったのかもしれませ。しかし、これらの陰には、疾病のリスクを少しずつでも減らす地道な作業の積み重ねがあったことを見逃すわけにはいきません。

 一方、事故が減らない農場を訪問すると、(当然のことながら)決定的に事故の減る対策がないかと期待されます。そのような雰囲気のなかで、「消毒はきっちりとやりましょう」、「注射針は少なくとも1腹ごとに替えましょう」、「豚舎の温度も大事ですが湿度も高めに保ちましょう」などと話し始めると、失望のため息さえ漏れることも少なくありません。しかし私が訪問している農場で事故が減少した農場の多くは、このような努力をしてきた農場です。農場の疾病は、豚舎内の様々な小さいリスクが積み重なって少しずつ悪化していきます。積み重なったリスクは、1つずつ取り除いていかないと、1度にスカッとなくするわけにはいきません。事故の減らないなかでこのような対策を農場に勧めることにも、ある意味で勇気が要ります。しかし、結果として改善された多くの農場の事例を見れば、基本対策の徹底は慢性病克服には不可欠であることが実感できます。

 今後も、私がお邪魔する農場には、このような基本的衛生対策をしつこいくらいに要求させていただく所存です。とくにこの季節は外気温が上がり、呼吸器病の改善にはうってつけの時期です。説教がましくて恐縮ではありますが、当たり前の対策の積み重ねをもう一度、見つめ直してみてください。

「ピッグジャーナル」(アニマル・メディア社発行)2005年7月号掲載



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