日清丸紅飼料株式会社
会社案内 事業内容 採用情報 最新情報 HOME
お問合せ本サイトについて個人情報保護方針リンク



2005年5月
マイコの病変とストレス

日清丸紅飼料(株)畜産研究所 検査センター 矢原芳博

 日本全国春を迎え、豚舎内環境も比較的安定しやすい季節と思われます。昨年は夏から秋にかけて多くの農場で繁殖成績の低下が見られ、その影響で在庫頭数、出荷頭数が少ない傾向が現在もまだ続いているようです。子豚の生産頭数は回復しつつあるようですが、そうこうしているうちにまた夏がやってきます。猛暑も台風も、「来るべきもの」と覚悟しておくことが必要です。何しろ夏場対策は、暑くなってしまってから始めたのでは全く手遅れですから、そろそろ準備を始めても決して早過ぎません。

 さて、話は変わりますが、先日、某製薬メーカーさんの主催で、豚マイコプラズマ肺炎と豚の免疫について(独)動物衛生研究所の森康行先生のお話を聞くことができました。先月のこのコーナーでは、浮腫病をはじめとする腸管感染症と豚の生体反応についての考えを書きましたが、豚マイコプラズマ肺炎についても、まさに病原体と豚の生体反応が病変を作るのだということが分かり、非常に興味深いお話でした。  森先生のお話では、豚マイコプラズマ肺炎の実験感染をするのに、マイコプラズマ ハイオニューモニエ(M.hp)をただ単に豚の鼻から接種しても、なかなか病変ができず、豚にある程度のストレスをかけて初めて病変ができるとのことでした。同じ病原体を接種しても、そのときの豚側の状態によって病変ができたり、できなかったりするということは、病原体と病気の関係を考えるうえで非常に重要なことだと思います。

 感染症対策を考えるうえで最初の基本は、どのようにしたら病原体を農場内に持ち込まないか、豚に感染させないこと(バイオセキュリティ)であることは間違いありませんが、それでは農場内に既に浸潤してしまっている疾病に対してはどうするかという課題が残ります。群間での病原体の行き来をできるだけなくする方法(オールイン・オールアウト等)について様々な方法が提唱されています。しかし、上記の豚マイコプラズマ肺炎の話をヒントにすると、病原体の感染を受けても病気を起こさないような豚の状態を作ってやれば、別の切り口の疾病対策になるのではないでしょうか。

 私は別に突飛な提案をしているわけではありません。疾病とストレスの関係については様々なところで語られるところであり、ストレスのかかった豚が疾病に対し弱いという傾向は、現場で確かに感じられることです。では、ストレスとは具体的に何だという話になると、うーんと考え込んでしまいます。豚がどれくらいストレスを感じているかについても、現在までに適当な指標は見つかっていません。過去、何回かこのコーナーで「母子ともに健康」、「豚にとっての本当の快適とは何か?」がキーワードだと書きましたが、その「ストレス」、「健康」、「快適」という漠然とした概念を、具体的なポイントとして抽出する作業を進める必要性を強く感じました。

「ピッグジャーナル」(アニマル・メディア社発行)2005年5月号掲載



Copyright(c)2003 Marubeni Nisshin Feed Co.,Ltd. All Rights Reserved.