日清丸紅飼料株式会社
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2005年2月
離乳子豚が過敏に反応する、農場での母豚のPCV2抗体

日清丸紅飼料(株)畜産研究所 検査センター 矢原芳博

 暖冬と思って油断していたら、年末年始以降の冷え込みで今年もそこそこの寒さとなってしまいました。その冬も終りに近づいていますが、例年春先は呼吸器病の季節でもあります。豚舎の環境管理が冬の気候に合わせて調整されているところに、段々昼間の気温が上昇してくるので、豚舎内温度の日格差が大きくなってしまい、気がつくと子豚が咳をしているというパターンです。しかし今年の冬は、暖かい日と寒い日の差が大きく、真冬の間も管理に苦労された方が多かったのではないでしょうか。従来の経験から季節ごとにある程度固定化されていた豚舎内環境の調整も、ここ数年の異常気象の前では、そのつど考え直さなければならなくなってきたようです。

 さらに、離乳子豚が非常に微妙な環境の変化に予想以上に過敏に反応する養豚場に出くわすことがあります。通常であれば問題にならないような微風に対し、ヒネ豚がどんどん増えていき、そのヒネ豚がじわじわと死亡していくというケースです。このような農場では、離乳舎に入ってもすぐには環境上の問題点に気がつきません。風速計などの機器を持ち込んだり、豚房のなかに入り床に這いつくばったりしながら豚に悪影響を及ぼしている原因を探していくわけですが、最終的には原因となる問題点を見つけたとしても、「それにしても何でこんな些細な風で(温度差で)こんなに調子を崩すのだろう」と首をかしげることが少なくありません。その背景には、子豚の免疫に何かが起きているのではないか、と疑いたくなってしまいます。

 そこで頭に浮かぶのがサーコウイルスです。豚サーコウイルス2型(PCV2)については、ここ数年かなり頻繁に紹介されてきてほとんどの方が知っていると思われます。しかし、自分の農場でPCV2がどの程度の悪影響を及ぼしているかを確認できている農場はほとんどないのではないでしょうか。何しろ抗体検査をすれば、ほとんどすべての農場で陽性ですし、症状の激しい群と順調な群で抗体保有状況に差が見られないものですから、簡単に診断しづらいのが現状です。

 我々獣医師もPCV2に関しては、個体別に診断することはできても、群全体がPCV2に対しどのような状態にあるかについては、なかなか把握できていないと思います。

 こんな現状のなかで、PCV2に関して1つ気になっていることがあります。母豚群のPCV2抗体保有状況にばらつきのある(むしろ母豚の抗体陽性率が低い)農場で、離乳子豚の免疫が落ちているケースがあるということです。まだ確固たる証拠が揃っているわけではありませんが、ちょっとした環境の変化に対し、離乳子豚が非常に過敏に反応する農場では、PCV2が免疫低下に関与している可能性があります。その原因は母豚のPCV2の抗体保有にばらつきにあるという仮説です。先月の「母子ともに健康」の続きですが、これから少しこの問題を詰めていこうと考えています。(列島豚病フォーラム)

「ピッグジャーナル」(アニマル・メディア社発行)2005年2月号掲載



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