日清丸紅飼料株式会社
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2004年12月
浮腫病対策は、焦らずじっくりと根気をもって

日清丸紅飼料(株)畜産研究所 検査センター 矢原芳博

 毎年毎年、月日の過ぎるスピードが加速していく感じがしますが、今年はとくに、自然災害に翻弄されて、より一層バタバタしていた気がします。皆さんのこの1年はいかがだったでしょうか。豚の疾病に関して言えば、猛暑の影響で母豚の体力が落ち、繁殖成績も悪化しているところに台風によるストレスが加わっているのか、増加傾向にあるように感じられます。

 疾病別に言えば、最近とくに気になっているのが浮腫病(Vero毒素原性大腸菌症)です。浮腫病についてはこのコーナーや、本誌の特集号でも何回か話題にしてきましたが、その発生が増えているようです。数年前に浮腫病について取り上げたときには、南九州と関東で多いと紹介しましたが、ここ最近はそれ以外の地域でも発生の情報が聞かれ、ほぼ全国的に発生しているものと考えられます。

 浮腫病に関して、その特徴と問題点についてもう一度おさらいすると、
1) Vero毒素を産生する大腸菌が腸管内で増殖し、その毒素が血液を介し全身に移行して(毒血症)全身性の疾病を引き起こす。
2) 発症豚に対して、ニューキノロン系などの抗生物質で治療すると、毒素が一気に全身に回り症状が悪化するので、注意しなければならない。
3) 離乳豚を中心に発症するが、10%を超える事故率が数ヶ月以上継続することがあり、経済的被害が非常に大きい。
4) 本症に対して隔離飼育は効果がなく、隔離した場所でも、ある日齢に到達すると同じように発症する(母豚から垂直感染した菌が、ある日齢になると発症?)。
5) 1度発症が落ち着いても、数ヶ月後に再びぶり返すことがしばしばある。

といったようなことがあげられます。

 このように、発症すると非常にやっかいな浮腫病に対しては、腰を落ち着けて徹底した対策を継続していくことが非常に重要です。母豚が感染源と考えられることから、母豚の腸管内から毒素原性大腸菌を排除する方法が有効です。生菌剤等を使用した腸内細菌叢の改善対策については、過去の本誌の特集(2002年11月号)で詳しく説明していますのでそちらをご参照になるか、我々にお問い合わせをいただければお答えいたします(具体策を細かく書いているスペースがありませんので…)。ただし、ここで強調しておきたいのは、対策を取るうえでの注意点についてです。上記のように発症している豚に対しては、むやみな抗生物質の投与はかえって症状を悪化させてしまうので、対策はもっぱら予防的な対応になります。

 つまり、現在発症してない豚群に対して何をしてあげられるかということです。とくに母豚の腸内細菌叢の改善策では、母豚への投薬や生菌剤の投与などに1ヶ月以上の時間が必要で、その後に生まれてきた子豚の垂直感染が減少するというものですから、都合2ヶ月間以上の時間がかかってしまいます。発症中の農場でこのような時間を待つことは非常につらいことではありますが、中途半端な対策で症状をぶり返してしまうことを考えれば、ここはじっくりと立ち向かうべきです。また、そのような対策を指示する獣医師についても、勇気と根気が要求されます。対策に時間がかかることを頭に入れ、臨床検査を有効に使い、できるだけ早く本症を診断することが必要です。(列島豚病フォーラム)

「ピッグジャーナル」(アニマル・メディア社発行)2004年12月号掲載



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