日清丸紅飼料株式会社
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2004年9月
衛生改善過程のPPE発症、ひるまず前進を

日清丸紅飼料(株)畜産研究所 検査センター 矢原芳博

 全国的な猛暑が続き、肥育豚の飼料摂取量もかなり落ちたようです。私も飼料メーカーの人間なので気になりますが、飼料の出荷量の推移を見ても、とくに東北地方では前年比での減少が大きく、出荷頭数の落ち込みが大きかったようです。肉豚、種豚の両方ともに暑さのストレスが大きいなか、秋口の大きな気温差はさらなるストレスにつながり、繁殖障害や呼吸器病の発生のきっかけになるので要注意です。

 そんななかで最近気になっているのは、このコーナーでも再三話題にしている豚増殖性腸炎(PPE)です。とくに肥育豚や育成母豚などの大きい豚での急性の増殖性出血性腸炎(PHE)に立て続けに遭遇しています。かつての全国的な抗体調査成績を見ると、日本の農場の96%以上が既にPPEに対する抗体を保有しており、これが新たに全国に広がりつつあるということではなく、むしろ、ハイへルスな環境で育成された繁殖候補豚が陽性農場に移動後に強く感染を受けているものだと思います。あるいは、陽性農場において衛生環境が改善されるなか、PPEの感染時期がどんどん肥育期におくれていく過程で、抗生物質の添加できない時期に非常に強い発症を起こしてしまったケースが増えているのではないかと考えています。

 いずれのケースも、農場内の衛生環境はむしろいい方向へ進むなかでの出来事であるのですが、現象としては急性の死亡が散発するために非常に大きな問題が起きたように感じがちです。しかし、とくに肥育豚のPHE発症のケースについては、肥育豚の抗体保有が進むとやがて発症は落ち着いてくるケースがほとんどですので、通常は一過性の発症で済むようです。繁殖候補豚の導入についても、できるだけ小さい体重での導入に努め、充分な馴致期間を確保することで症状を軽減できるはずです。

 このように、農場の衛生環境改善の過程で一時的な急性疾病が発生した場合、管理者の間には動揺が起こりがちです。農場をあまりきれいにしてしまったのでこのような事故が起きてしまうのなら、農場はむしろある程度汚いほうがいいのではないかという結論が出てきてしまうことも十分に考えられることです。しかし、長い目で見れば、このような努力のなかで確立していった衛生環境は、より早い出荷日齢で、より低いコストでの肥育豚の生産を可能にするのです。目先の急性の事故の発生は非常に目につくし、ショックも大きいものですが、そのなかにはこのような、衛生環境改善の取り組みのなかでの出来事もあることを忘れないでください。その過程で起きるこのような疾病は、皆さんの身近にいる管理獣医師の先生の力を借りれば必ず解決できる問題です。

 先月も書きましたが、急性な疾病の発生を恐れるあまりに疾病との共存を選択することは、長い目で見れば逆に生産性にマイナスに働くことは明らかです。恐れずに次の衛生レベルに挑戦していくべきだと思いますし、そのための手助けをするのが我々の使命だと思っています。(列島豚病フォーラム)

「ピッグジャーナル」(アニマル・メディア社発行)2004年9月号掲載



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