日清丸紅飼料株式会社
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2004年6月
どこに行ってしまったのかAD撲滅の目標

日清丸紅飼料(株)畜産研究所 検査センター 矢原芳博

 気がつくと、今年もすぐそこに1年の折り返し地点が迫っています。年を取るごとに月日の流れは速くなっていくと言いますが、それにしても、もう半年が過ぎたのか…。今年になって自分のできたことを考えてみると、その少なさに愕然としてしまいます。

 皆さんの農場ではいかがでしょうか。今年に入ってやろうとしていたことは着実に進んでいるでしょうか? 目標の進捗度を振り返るいい機会だと思います。

 さて先日、日本豚病研究会の研究発表会が茨城県・つくばで開催されましたが、その話題の1つはオーエスキー病についてでした。そう言えばここのところ、トンと忘れ去られていた話題ではあります。昭和50年代に日本に上陸し、その後着々と全国に浸潤して行った本病は、一時は現在のPRRSよりももっと注目された疾病でした。日本での初発時、私は大学生だったのですが、就職直後からしばらくはこの病気への対応で手いっぱいの日々が続きました。本当に大変な疾病でしたが、生ワクチンが発売になり、紆余曲折はあったものの陽性地域でのワクチン接種の浸透により、現在では新たな発症に出合うことはまずなくなったと言っても過言ではないようです。印象的には、ワクチンさえ接種していれば“過去の病気”といったところでしょうか。

 しかし、あの当時のことを思い返せば、ADワクチンの承認は、“撲滅”を目指しての解禁だったはずです。その事業の進捗はどうなってしまったのでしょうか。その検証はどこかで行われているのでしょうか(私だけ知らなかったのならすみません)。少なくとも道半ばで放って置かれている印象をもっているのは私だけではないと思います。欧米の情報を時折目にしますが、とくにアメリカでは撲滅を完了した州がどんどん増えていく地図を見かけます。事業は着々と進んでいき、合衆国全土での撲滅も近いのではないかと感じさせます。始めた事業はきちんと遂行し、完了させる姿勢が明確です。日本のADはこのままの状態でいいのでしょうか?。この間にもっと緊急性の強い疾病が次から次に起きてきたことは事実ですが、それが、ADが放って置かれてよい理由にはならないと思います。

 私がお邪魔しているAD陽性地域の農場では、ほとんどが野外ウイルスの農場排除を目標にワクチン接種を根気強く続けています。そしてその多くが、農場単位では野外ウイルスが見つからない状態にまでこぎ着けています。事実上、農場からのウイルス撲滅に成功している農場は少なくありません。しかし、これらの農場では、その後もワクチン接種を続けています。なぜなら再び農場内へウイルスが侵入することが怖いからです。

 農場単位の清浄化までが個々の農場でできる努力の限界だとすれば、地域の清浄化、日本全体の清浄化に対しては、行政の関与が不可欠だったはずです。新たな撲滅への姿勢が示されるのだろうかと思って豚病研究会へ足を運んだのですが、その様子はありませんでした。AD撲滅のリーダーシップは誰が取るのか、一瞬、暗然とした気持ちになってしまいました。どうもこの問題についても、業界の“自己責任”の範疇のようです。がっかりしていても先に進めません。私も業界の一員として撲滅が先に進むように何らかのお手伝いをしていきたいと思います。(列島豚病フォーラム)

「ピッグジャーナル」(アニマル・メディア社発行)2004年6月号掲載



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