
2004年5月
マイコワクチンは農場の状況と目的に応じて適切な選択を

日清丸紅飼料(株)畜産研究所 検査センター 矢原芳博
毎年花粉症に悩まされていますが、今年もそのシーズンが終わりほっとしています。今年は花粉の飛散量も少なかったようで、例年ほどの症状は出ませんでしたが、症状が軽かった理由がもう1つあるのではないかと思っています。私事ですが、昨年秋に埼玉県から栃木県の那須に引っ越しました。とりわけ環境中の排気ガスやアスファルトの粉塵などの量は大きく減っています。
花粉症の発症を増悪する一因として大気中のこれらの物質が関与しているという説があるそうですが、もしそうだとしたら今年の症状の軽さはこの粉塵量の減少が原因かもしれません。まさにPRDC(豚呼吸器複合感染症)において、豚群の飼育環境を改善すると症状が劇的に変化するケースとよく似ています。慢性で常在化する呼吸器疾病において、その主因となっているPRRSやサーコウイルスなどにこだわりすぎて改善できないケースでは、この症状を取り巻く様々な要因を取り除くアプローチが重要です。
とくにこれらのウイルスの増悪因子として重要なのがマイコプラズマ肺炎(MPS)であり、このコントロールのための武器としてワクチンが多くの農場で使用されています。とくにこの春は、マイコプラズマ肺炎のワクチンに関してワクチンメーカー各社から様々な製品や情報がリリースされており、MPSワクチンに対する関心が高まりつつあります。
MPSワクチンの効果については、既に多くの農場で実証されており、数ある豚用ワクチンのなかでも接種率の高いワクチンの1つになっています。現在6社から8種類のワクチンが市販されていますが、このように多くの会社から多くの種類のワクチンが発売されている例は、豚ではほかに見当たりません。このことからも、このワクチンの潜在マーケットの大きさをうかがい知ることができます。このように、農場においてまずは接種を検討すべきワクチンの筆頭に位置すると考えられるMPSワクチンですが、接種の際にはいくつかの考慮すべき点があります。
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1)どのワクチンを選択するか? |
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現在発売されているワクチンはすべて不活化ワクチンですが、オイルアジュバント、水酸化アルミアジュバント、2回接種、1回接種、単味、胸膜肺炎との混合など、様々な種類と特徴があります。どのワクチンが自農場の目的にフィットしているのかをよく吟味する必要があります。 |
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2)どの時期に接種するか? |
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2回接種の場合、1・3週齢のプログラムが一般的に多用されていますが、母豚の移行抗体のレベルによっては、3・5週だとか5・7週が適期の場合もあります。また、農場全体が重度汚染されている状況では母豚への接種も効果を発揮する場合があります。いずれにしても、農場の現状を検査で把握して、それに合ったプログラムを組むことが重要です。 |
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3)そもそも接種すべきかどうか? |
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接種すべきかどうかの判断をする場合、もちろんMPSの浸潤度もそうですが、他の疾病の動きも考慮する必要があります。MPSワクチン接種によってPRRSやサーコウイルスの水平感染を広げてしまうケースも経験しています。このようなケースでは、ワクチン接種をやめることで逆に事故率が低下することもあります。接種しないという判断も時には必要な場合もあります。 |
以上のようなポイントをよく検討し、農場の現状と目的に合った接種プログラムを見つけていただきたいと思います。(列島豚病フォーラム)
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「ピッグジャーナル」(アニマル・メディア社発行)2004年5月号掲載
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