日清丸紅飼料株式会社
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2004年3月
再発・流産の散発でレプトスピラ病に要注意

日清丸紅飼料(株)畜産研究所 検査センター 矢原芳博

 相変わらず鳥インフルエンザとBSEで騒がしい畜産業界ですが、せめて養豚業界にはこのような疾病の発生はあってほしくないものです。日本列島は南から徐々に春に向かっているところですが、例年のように気温の日格差が大きくなる時期ですので呼吸器病には十分な注意が必要です。さて、今月は検査ラボの立場から、最近気になっている疾病をピックアップしたいと思います。

 その疾病とはレプトスピラ病です。本病はレプトスピラという小ラセン菌によって引き起こされる異常産(流産、早産、虚弱豚の出産)で、肉豚の場合、血尿が見られることもあります。欧米では本病はポピュラーな疾病であり、既にワクチンも市販され、高率な接種率になっているようです。しかし、なぜか日本ではほとんど注目されておらず、沖縄での発症報告や疫学調査は見られますが、北海道から九州までの症例報告は数えるほどしかありません。

 では、日本では本当にレプトスピラ病は発生していないのでしょうか。ところが一方では、このコーナーでも何回かご紹介しているように異常産の原因の特定は難しく、原因不明のまま過ぎ去ってしまうケースも多いのが現状です。このように原因のはっきりしない異常産のうち、レプトスピラが関与している場合が少なからずあるのではないかと疑い始めています。現場でよく見られるパターンとしては、「種付け分娩率が悪く」、「種付け後、妊娠確認された豚が白いおりものを出し、しばらくしたら発情が再発した」、「白いおりものと再発、流産が散発して、それがダラダラと数ヶ月続く」といったケースです。母豚の元気はそれほど悪化せず食い込みも落ちない豚が多いようですが、このような症状が慢性的に数ヶ月持続します。

 こうしたケースでは、母豚の血清を用いて抗体検査をしてみます。現在、あるメーカーから主にヒトを対象にしたラテックス凝集反応のキットが発売されていますので、これを用いてスクリーニング検査を実施します。レプトスピラには多くの血清型がありますが、市販されている5つの血清型で検査をして陽性反応があれば母豚群に抗生物質の試験的投与を試みます。このキットによる検査はあくまでスクリーニングのための試みであって確定診断ではありませんが、可能性を絞るのには有効と思われます。

 このような手順のあとに抗生物質を投与して、上記のような繁殖の異常が改善されたケースを最近いくつか経験しています。一般的にレプトスピラにはストレプトマイシン、クロルテトラサイクリン、オキシテトラサイクリンが有効とされています(豚病学 第4版)ので、これらの添加剤を飼料添加しました。振り返って考えてみると、母豚群への抗生物質の飼料添加はここ最近減る傾向にあり、とくにテトラサイクリン系の使用頻度が大きく下がっていることと、レプトスピラ病が気になり出したこととの間には関連があるのかもしれません。(列島豚病フォーラム)

「ピッグジャーナル」(アニマル・メディア社発行)2004年3月号掲載



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