
2004年2月
海外伝染病の発生と相場の変動、 不確定な要素に囲まれて今やるべきこと

日清丸紅飼料(株)畜産研究所 検査センター 矢原芳博
1月12日、突然携帯のベルが鳴り、鳥インフルエンザが山口で発生のニュースが飛び込んできました。豚以上に低迷していた卵価の続くなか、大変なことになってしまったものだと感じながら、情報の収集を開始しました。休日だったこともあり、ニュースソースの大部分はインターネットに頼らざるを得ませんでしたが、欲しい情報はほぼネット上で手に入れることができました。しかも、いわゆる“ガセネタ”の類は取り除かれているので、多くの人はかなり正確な情報を共有できたのではないかと思います。こういった点は非常にありがたい世のなかになったものです。
反面、またかと思ったのは、小売店各社による山口県産の卵の排除です。今回の鳥インフルエンザに対する国の防疫マニュアルは、世界的に見てもかなり厳しいものであり、感染リスクとしては小さい鶏卵についても、発生農場の半径30kmの範囲で出荷を許しませんでした。鳥インフルエンザ発生が疑われてからそれが確定するまでに市中に出回ってしまった鶏卵は回収すべきでしょうが、移動禁止措置後に新たに生産された山口県産の鶏卵は、他県の鶏卵と何ら変わらないはずです。それなのに今回も、イメージが先行した対策が早々と取られてしまったことが残念です。今後も社会の国際化が進み、海外悪性伝染病が国内に上陸するリスクは増えてくるものと思われますが、その都度、冷静な状況判断をしないと、国内の畜産業界は受けなくてもいい打撃を被ってしまいます。熱しやすく冷めやすい国民性に期待し、できるだけ早く山口県産の卵の需要が回復してくれることを祈っています。
一方、養豚業界に関しては、昨年末の米国におけるBSE発生に伴う米国産牛肉の輸入停止で急騰した豚価は、その後落ち着きを取り戻しながらも比較的堅調な推移を示しており、一息ついていらっしゃる方も多いものと思います。それにしても豚価というものは他の畜産物に比べてもその変動の幅が非常に大きく、また急激なことにあらためて驚かされました。その背景にはどのような理由があるのでしょうか?
ともかく、豚価が安定してくれたのはありがたい事実であり、ようやく生産に対する意欲も出てきているのではないかと思います。しかしこの冬、疾病の発生も決して少なくありません。呼吸器疾患は、例年どおり(?)、突発事故発生の連絡をたくさん受けています。数ヶ月前にこのコーナーで取り上げた胸膜肺炎も今年は増加傾向にあるような気がします。PRRSがらみの離乳舎の問題もやはりまだまだよく聞きます。相場に海外悪性伝染病と、畜産には不確定な要素が多すぎるような気がしますが、それでも良質な国産豚肉を供給し続けるため、1つひとつ疾病問題をクリアしていかなければなりません。(列島豚病フォーラム)
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「ピッグジャーナル」(アニマル・メディア社発行)2004年2月号掲載
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