
2004年1月
豚の健康の追求が消費者に 「安全な豚肉」を供給する王道

日清丸紅飼料(株)畜産研究所 検査センター 矢原芳博
新年あけましておめでとうございます。新しい年のスタートはおめでたいものですが、昨年後半からの相場の低迷、家畜排泄物法の完全施行、FTA問題などなど、養豚界を取り巻く環境は難しい局面を迎えつつあります。このようななかで、いかに明るい方向性を示せるか、生産をサポートする我々にとっても真価が試される年になりそうです。
今年、1つのキーワードになりそうだと感じているのは、特定JASあるいはトレーサビリティです。農水省は昨年末にこれらのガイドラインを示し、これに呼応して業界各社が豚肉のJASあるいはトレーサビリティの認証へとシステムの構築を進めつつあります。さらにこれを追い風と捉え、さらなる付加価値として特定JASの取得を目指しているケースも耳にします。これらの動きの裏側には、畜産物の安全性への消費者の漠然とした不信感があるようです。
抗菌性飼料添加物による耐性菌の出現の不安、動物薬の畜産現場での使用状況に対する疑問などに対し、消費者団体を中心としたグループの過敏とも言える反応が、あちこちで開かれたシンポジウムなどで盛り上がりつつあります。そういった発言のいくつかは現場の状況とおよそかけ離れた的外れなものだったり、科学的根拠のない感情論だったりするのですが、一度盛り上がった世論がどんどん1つの方向に向かっていくのを止めるのは非常に難しいことなのかも知れません。
現状の養豚生産現場でどのように薬剤が使用されているかについて、我々がもっと積極的に消費者に説明していく必要があるのだと思います。その説明のために必要な道具がトレーサビリティのシステムであり、JASなのです。年々失われつつある畜産物の安全性への信頼を取り戻すことが、今年の養豚界の最大の課題ではないでしょうか。今、農場のなかでどのように豚が飼育されているのか、店頭で手にした豚肉がどのような飼料を給与されたのか、消費者が知りたがっていることに答えていかなければなりません。どの豚肉が消費者から信頼を得ることができるのか、まさにその競争が始まりつつあります。
そのための記録の整備はもちろん重要ですが、まず第1に、農場内で使用する抗菌性物質の総量を減少させる努力が必要なのは言うまでもありません。昨年も、その前の年も、新年のこのコーナーで書き続けていますが、「豚にとっての本当の健康(快適)とは何か」という課題の追求が、ひいては消費者の信頼を勝ち得る「安全な豚肉」への道につながるものと信じています。(列島豚病フォーラム)
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「ピッグジャーナル」(アニマル・メディア社発行)2004年1月号掲載
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